
――宅配ボックスという解決策
ニュースを読んで驚きました。国が「置き配」拡大のために、配達員がマンションのオートロックを解錠できる仕組みの開発に補助金を出すというのです。物流効率化を推進する狙いは理解できますが、ここで改めて問いたいのは――本当に必要な補助金なのか?という点です。
オートロックは誰のためのものか
オートロックは、住民の安全と安心を守るための仕組みです。そこに「誰でも入れる抜け道」を作ることは、利便性と引き換えにセキュリティを弱めるリスクを伴います。国交相は「防犯は大前提」と強調していますが、解錠を許可する仕組みそのものが、防犯上の不安を招くのは明らかです。
宅配ボックスにこそ補助金を
解決策はすでに存在します。
それが宅配ボックスです。宅配ボックスがあれば、配達員はオートロックを通過する必要がなく、荷物は安全に保管されます。再配達も減り、配達員の負担軽減や物流効率化にも直結します。
つまり、宅配ボックス導入は住民の安全を守る(セキュリティ)、再配達削減による物流効率化、配達員の負担軽減、この三拍子が揃った理想的な仕組みなのです。
「セキュリティを削る補助金」より「安心を強化する補助金」を
補助金を投じるのであれば、オートロックを突破できる仕組みではなく、宅配ボックスの普及支援に回すべきです。そうすれば「安全」と「利便性」を同時に確保できます。
いま必要なのは、セキュリティを緩める政策ではなく、セキュリティを高めながら利便性を提供する投資です。宅配ボックスは単なる便利な設備ではなく、防犯と物流を両立させる社会インフラとして再評価されるべきだと強く思います。